1098S クラッチ プレッシャープレート・リテーナー・スプリング・クラッチカバーの交換

2021/09/25

いよいよ終盤、クラッチ関連部品が揃ったところで、ぼちぼち組付けていきます。

オシャレパーツリスト

① Rizoma ZDM085G Clutch Pressure Plate color Gold
② CNC Racing MO140R Clutch Spring kit ,color Red
③ TB0125 SUS CAPBOLT M5×20mm P0.8 Taper head(焼きチタンカラー)6本
④ STM Stile フラッシュ 360 ビレットクラッチカバー 品番 : SDU-*200
⑤ TB0200 SUS CAPBOLT M6×65mm P1.0 Slim head 1本
⑥ TB0191 SUS CAPBOLT M6×20mm P1.0 Slim head 2本
⑦ TB0201 SUS CAPBOLT M6×70mm P1.0 Slim head 3本

気が付けばオシャレパーツだけで、総額35,905円も突っ込んでいました(;´Д`)
スリッパークラッチだと10万円は超えてくるでしょうけど・・・。

パーツの検証そして考察

ひとつ気になっていたことが解消されすにパーツがイタァ~リアから届いてしまいました。
段ボールを開封したらCNC racingのスプリング←シンプルな梱包そしてRizomaの窓付きの高級そうな箱が出てきました。黄金のプレッシャープレートを見るとデザインや表面処理含めてRizomaだなぁと妙に納得。

気になる点はリテーナーに付属されている謎の
t=2mm 計12枚のアルミスペーサーです。これは装着するのか?

付属の説明書にはこう書いていました。


・IMPORTANT
THE MEASURE P OF THE PRESSURE PLATE RIZOMA MUST BE EQUL AT THE MEASURE P OF THE OEM PRESSURE PLATE IF INSTEAD THE MEASURE P IS DIFFERENT (TOLLERANCE +/-0.5)
USE THE FURNISHED SPACERS (SEE FIG2)ASSEMBLY ALL THE OTHER OEM SPRINGS OM THE SAME WAY
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ネット翻訳で直訳すると↓


・重要
圧力プレートリゾマの測定Pは、測定Pが異なる場合(許容差+/- 0.5)、OEM圧力プレートの測定Pと等しくなければなりません。
付属のスペーサーを使用してください(図2を参照)。
他のすべてのOEMスプリングを同じ方法で組み立てます。
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ちょっと何言ってるかわかんないですがw

直訳文章と測定図をよく見た結果AGの解釈

1.CNCのスプリングの自由長が純正と変わりがないことを測定する。

2.純正プレッシャープレートの底(スプリングの起点)⇔リテーナーの底(スプリングの終点)までの距離(P)がRizomaセットと同等であることの確認。
差異がある場合はt=2.0mmスペーサー(ワッシャ)を入れて調整しなさい
※距離(P)の測定にはスプリングは不要

↑ってことだと思います?

2.を図示したのがこれで
必要に応じてワッシャ入れなさいってのがこれかと

早速分解して実測開始です。

測定結果(Measurement result)

1.クラッチスプリング自由長の測定(そのままの長さ)

・純正 : 40.12mm

・CNC : 40.44mm0.32mmはバラツキの範囲内ということでほぼ同じと判断します。
※自由長の違いはバネ強さに影響すると考えますがリテーナーのレイアウトには影響を及ぼしません。

2.距離Pの測定

距離:Pを実測するため1098Sのクラッチ部分を分解していきます。
クラッチカバーを外して6本のボルトを並べます。
箇所により挿入ボルト長さが異なるので忘れ防止の為です。

左から①20mm ②70mm ③70mm ④65mm ⑤70mm ⑥20mm
配置は一番下から時計回りです。

① 距離:Aの測定値
純正Rizomaのリテーナー始まりからのスプリングが座る底部までを測定

・純正 : 4.23mm

・Rizoma : 3.5mm
 写真撮ってませんでした(;´Д`)

② 距離:Bの測定値
プレッシャープレートの底からクラッチボスのトップまでの距離を測定

↓プレッシャープレート底部にデプスバーを当ててクラッチボスのトップまでの距離を測定

・純正 : 17.75mm

・Rizoma : 16.2mm
 写真撮ってませんでした(;´Д`)

③ 測定値P(A + B)
・純正 : 21.98mm
・Rizoma : 19.7mm

測定結果はRizoma約2.28mm短い
プレッシャープレートが厚く、リテーナー底厚が薄い
ということになります。

DUCATIの純正クラッチに対してRizomaリテーナーに付属されているt=2.0mmワッシャは1枚ずつ必要という結果となりました。

Rizomaの測定値P(A + B)が短いということはクラッチを切るときのプレッシャープレートのストロークが2mm短くなるということになります。
この差がどのような影響を及ぼすかは不明ですが測定して正解でした。

 

クラッチプレッシャープレート・リテーナー・スプリングの交換

クラッチカバーを外したプレッシャープレートが丸見えの状態からスタート。

1.リテーナーの取り外し
6箇所あるリテーナー固定ボルトを緩めて、ボルト・リテーナー・スプリング外します。

2.プレッシャープレートを引き抜く
リテーナーを外したらプレッシャープレートが抜ける状態ですがクラッチプレート側にへばり付いているのでマイナスドライバーでこじようかと考えましたが、車体の反対側まで伸びているプッシュロッドもひっついてくるので水平に抜く必要があります。
やっていいかはわかりませんがAGはクラッチを切ってプレッシャープレートを少し押し出して手をかけてまっすぐ抜きました。プッシュロッドにはゴムブッシュが2個付いているのでにゅ~っと抜けてきます。
それほど力は要りません。

3.プッシュロッドブラケットの移植
プレッシャープレートに刺さっている長いプッシュロッドは引っ張ったらスッと抜けるので一時保管し、今度はプッシュロッドが刺さっていたブラケットを外します。
(Rizoma ZDM085G Clutch Pressure Plate にはベアリングが圧入されているのでブラケットの移植のみでOKです。)

ネットをみたらブラケット径より小さなソケットを当てがってハンマーで衝撃を与えて以下のように抜く方法が紹介されていますが、ベアリングを痛めてしまいそうなのでAGは圧入装置代わりに
50kN(5t)の万能試験機の圧縮にて抜くことにしました。これを使うとまっすぐじんわりと抜くことができます。

万能試験機は一般にはない機器なのでズルと言えばズルですw メーカー勤務の特権です。

プレッシャープレートの表面からソケットを当てがって圧縮を少しずつかけていくと少しずつブラケットが抜けてきます・・・コロン♪

ブラケットが抜けたようです・・・ってか、
ベアリングごと抜けてしまいました(;´Д`)なので裏返してベアリングを圧入がてらブラケットを抜きます。

引抜き時のリアル荷重は1300N程度なので、試験機がなければハンマーなどの衝撃荷重でしか抜けないですよね。抜かない場合は新しいベアリングを用意するかベアリング圧入済みのモノを用意したほうがよさげです。

なかなか抜けなかった理由はブラケット表面がさび付いていたからだと思われます。
なので錆を軽く落としてから若干表面潤滑を施してから Rizoma プレッシャープレートに圧入しますが荷重は700N程度で半分くらいでした。

ブラケットを押し込み過ぎたらベアリングが損傷するので目視で確認できる程度の隙間を空けて完了です。

万能試験機は偉大です。
ちなみにSI単位1300Nを換算すると132.5kgfになります。
9.80665で割るだけですが約1/10で換算すると覚えやすいです。

4.Rizoma プレッシャープレートの装着
現場に戻ってプレッシャープレートのブラケットにプッシュロッドを差し込みます。そしてまっすぐ押し込むのですがここで注意点

切り欠きを合わせて挿入

純正のクラッチボス6本の内1か所だけにスリット(切り欠き)が入っているので、

純正の場合はプレッシャープレートの矢印部分と合わせて挿入します。これを怠るとクラッチが切れなくなるそうです!

Rizomaはプレッシャープレートの外周に1か所穴が空いているのが目印だと思います・・・たぶん
rizomaの穴とクラッチボスの切り欠きを合わせます。

※プレッシャープレートは最後までキッチリ押さえてクラッチ板バネと密着させてください。

位置合わせに関してAGは事前確認で知っていたのですが、どういう原理でクラッチが切れなくなるかは機構を観察しても理解できませんでした。

5.クラッチスプリング・リテーナーの取付け
以下の構成で組付けます

① TB0125 SUS CAPBOLT Taper head(焼きチタンカラー)
Rizoma リテーナー
t=2.0mmワッシャ1枚
④ CNC Racing MO140R Clutch Spring

リテーナー+ワッシャーをボルトでセットして
4mm HEXで対角に締付けながら
最終はトルクレンチにて6N・mで締付けて完了です。

余談ですがせっかくの焼きチタンカラーボルトが黒いリテーナーに色が溶け込んであまり目立ちませんでした(-_-;

※余談ですが6N・mで締め付けたリテーナーボルトですが2000km走行後の点検にて緩みがないか確認しましたがまったく緩んでいませんでした。

6.クラッチカバーの取付け
予め磨き倒しておいた中古の STM Stile フラッシュ 360 ビレットクラッチカバーを純正ゴムブッシュを挟まずにあてがいます。

そしてあらかじめ用意しておいた
SUS CAPBOLT ・M6×65mm ・M6×20mm ・M6×70mm
のSlim head 計6本をクラッチカバー正面から見て一番下から時計回りに20mm → 70mm → 70mm → 65mm → 70mm → 20mmを締めこんで完了です。

気になるクラッチカバーとリテーナーのクリアランスは目視ですが3mm程度確認できたのでヨシとします。

なんのアクシデントも無く組みあがったクラッチ周りを眺めてみましたが、

GOLD プレッシャープレート
×
RED クラッチスプリング
×
BLACK リテーナー
×
焼きチタン色 スプリングボルト
×
BLACK クラッチカバー

ドぎつい色使いなんですがカッコいいと思ってしまったw

後日、バッテリーをつないで動作確認を実施、動作は問題ないようでした。おそらくちゃんと繋がったり切ったりはできるでしょう。音はというとマフラー音とは異質の機械金属音がガチャガチャガチャガチャシャリシャリィ~♪

これですこの音です♪

AGレベルではお手軽簡単装着とはいきませんでしたが問題なくイメージ通りに楽しく装着できました。

-DUCATI 1098S, GEAR, repair & maintenance