1098S brembo オイルタンクS50の交換とエア抜き作業

2022/06/15

brembo M4 キャリパーのオーバーホールが完了した後は
キャリパーの取付けとフルード充填→エア抜きを行います。

ここまでは従来の作業と変わりありませんが、今回はマスターシリンダーのオイルタンク交換作業が追加されます。
後にわかることですがこの違いがエア抜き作業に大きな変化をもたらします(;´Д`)

 

作業手順

① オイルタンクの交換

純正のアルミタンクキャップがフルードで塗装が剥がれていたのでタンクまるごと交換です。

brembo オイルタンク S50タイプ大:白タンク 黒キャップ 取出し:下曲がり 10.4446.61 1,404円

キャップだけでも良かったのですがなぜかASSYの方が安く、しかも写真にはなかったダイヤフラムもついているのでお買い得です。

キャップはプラ製に変更されています。キャップがちょっと台形でなんだかいい感じ♪

取付けは簡単でフルードがない状態で純正タンクを外してゴムブッシュを移植して、ゴムホースと本体を取り付けるだけです。

② メッシュホースの取付け


右キャリパーに2本
左キャリパーに1本それぞれメッシュホースを接続します。
バンジョーボルトに新品のクラッシュワッシャ計5枚を挟んで20Nmで締め付けます。
(メッシュホースの向きはマーキング位置に合わせます。)

・右キャリパー :
バンジョー → ワッシャ → ホース → ワッシャ → ホース → ワッシャ → キャリパー

・左キャリパー
バンジョー → ワッシャ → ホース → ワッシャ→ キャリパー

の順番です。

 

③ キャリパーを固定

キャリパーにディスクを挟み込む形でマウントしてからキャリパーボルトを締め付けます。エア抜き後にセンター出ししたいので粗方締め付けておきます。
(最終的には43Nmで締め付けます。)

 

④ フルード注入

今回はオイルタンクも含むライン全てにフルードがない状態からの補充です。

 

⑤ エア抜き作業

マスターシリンダーのブリーダーボルトのキャップを外して11mmコンビレンチをセットしブレーキエア抜きセットのチューブを差し込みます。
エア抜きなので差し込んだチューブは一旦上に上げてからタンクへのレイアウトが望ましい。マスターはミラーステー・キャリパーならフォークに養生テープでホースを留める形が便利です。

準備が終わったらブレーキレバーを50回ほどポンピングしたら徐々にレバーに抵抗が生まれてフルードがいきわたり始めるはずが今回は全くその気配がありません(;´Д`)

 

いったい何が起こっている?

さらに200回ほどポンピングしましたが一向に変化が訪れません(;´Д`A ```
途中何度かブリーダーボルトを緩めてもたまにポコッとエアが出てくる程度でフルードが出てきません・・・
どこかでエアーが噛んでいるようです。
ネットで少し調べたらオイルタンク ⇔ マスターシリンダー間のホースにエアが残っている可能性があるというのを見てポンピングしながらゴムホースをむにゅむにゅしたらポコポコってエアが出てきました!
これでいけるのではとさらにポンピングを300回ほどしましたが感触はスコスコのまま(;´Д`)

そこで考えたところ、今回の変化点はオイルタンクを交換したこととフルードが空の状態であることが挙げられます。
もしかしたら、メッシュホース内にエアが溜まっていて上から抜けなくなっているのではないか?

ということでキャリパーのブリーダーボルトにエア抜きホースを付け替えてリトライ・・・でも出ない(-_-;

上から抜いてダメなら下から吸ってしまえ ということでomega909注入用のシリンジをエア抜きホースに接続しブリーダーボルトを緩めて吸い出してみました。最初はエアが出てきてすぐにフルードが出てきました。

結局500回以上のポンピングは無駄であり下(キャリパーブリーダー)から吸えばあっという間にフルードが充填されてレバーの感触が戻ってきました。

レバーの感触が戻ったら
右:キャリパー → 上:マスター → 左:キャリパー の順番でオイルタンクのフルードを補充しながら
レバー(1・2・3) → 緩める(ジャー) → 締める
を2巡してエア抜きは完了しました。

最後にオイルタンクのフルード容量がMINからMAXの2/3ほどの油量にしてフタを閉めます。

そして3箇所あるブリーダーボルトを規定トルク10Nmで再度締め付け
穴にこよりを突っ込んで溜まったフルードを除去しゴムキャップでフタをして完了です。ゴムキャップにもしっかりとbremboロゴが!

 

⑥ キャリパーボルトの本締め

仮止め状態でエア抜きが完了したらブレーキを握ったままギュッと締めこんでキャリパーのセンター出しを行ってから規定トルク43Nmで締め付けます。
これで横方向のズレが解消できる・・・はずです。
でもフルフローティングディスクでも効果あるのかなw

 

⑦ キャリパーに油圧をかける

最後に検証のためフロントブレーキロックを装着しキャリパーに一定の圧力をかけて一晩様子を見てみます。フロントブレーキロックがなくても養生テープなどで巻き付けてもいいでしょう。

この状態で一晩寝かせ翌日確認したらどこからもフルード漏れは認められませんでした(^^ゞ

キャリパーオーバーホール コンプリートです!

※フルードを空にした状態からのエア抜きはキャリパー側からシリンジで吸い出すのが効果的というかシリンジ必須です。

 

フルード漏れの原因

フルード漏れの直接原因は以下の要因が挙げられます。

原因その1:

キャリパー清掃時にパッドを外した状態でピストンがオーバーストロークで脱落した時に慌てて逆組みをしたことによるシールの破損

原因その2:

分解作業にてキャリパーピストンツールを使用せず、ウォーターポンププライヤーにてピストンを取り外したことによるピストンの歪みまたはキズ

原因その3:

ピストンのコーティング剥がれ左右1カ所ずつ1mm程度の剥がれを確認、経年劣化または飛び石によるダメージか?

原因その4:

シール脱着時にシール溝とシールが固着していて取り外すと溝表面が荒れが確認された。
当時はシール脱着をしなかったのでわかりませんでしたが、清掃という変化を加えたことによりシールとピストンのバランスが崩れたことにより漏れ出した可能性。

原因その5:

シールの劣化によるシール性の低下
新品シール装着後のピストン押し込み時の抵抗が既存シールと比較し明らかにキツかったことより旧シールのシール性が低下していた可能性。

上記が思い当たるところですが、ブリーダーボルトを交換して左キャリパーから漏れ出したことから、原因その1・2 の可能性が高いと考えています。

 

本当に長い道のりでした(;´Д`A ```

2月初旬のキャリパー清掃中にピストンが脱落してから
分解 → 清掃 → 組付け → 検証 → NG → 再検証 → NG → 分解 → 発注 →組付け → OH完了
2.5ヶ月以上を要してしまいました。

まとめ

自称整備スキル中の下のAGからして今回のトラブルは難易度が高い部類に入ります。
失敗連続の経緯は過去記事から見て取れますが、キャリパーOHに必要な特殊工具を揃えて臨めば失敗することはなかったのではないかと考えます。

しかしながら背景として、DUCATIにはシールキットをリペアパーツとして販売しておらずメーカーにOHを依頼する仕組みになっていましたし、他メーカーのバイク屋さんもbremboはバラすとややこしいから極力触らない方が良いという話もありました。

当初はOHするつもりがないところからヤラかした案件であり、すぐにプロに任せればよかったものを好奇心と意地から、失敗を繰り返しながらも自身でOHしました。

シールキットの国内販売がなかったためアメリカから取り寄せましたが、もしかしたらbremboキャリパーのOHはAGのような素人がやってはいけない領域だったのかもしれません。

なのでAGは自力でOHすることを推奨はしません

やってやれなくはない

レベルだと思いました。

だけど面倒なのでプロに任せた方が楽で確実ですw

後日談ですが、OHから2か月以上経ちますがフルード漏れは全くありません(^^)v

-DUCATI 1098S, GEAR, repair & maintenance