1098S メンテナンス&大改修 2024 part5 FINAL クラッチ ASSY交換
2024/11/13
2023年初頭、“純正クラッチがクラッチレバーを握ってもキレない件“で分解した結果、クラッチ交換は行わずに延命処置を施しました。
そしてこの度 “メンテナンス&大改修2024” にて温存しておいたクラッチASSYに交換していきます。
まぁ前回純正クラッチASSYの脱着+社外クラッチの仮組みまで実践しているので
どうということはないでしょう・・・(*´Д`)
今回使用したパーツおよび主要工具類
・LOCTITE 243
LOCTITE(ロックタイト) ねじロック 243 中強度タイプ 10ml
クラッチバスケット固定用ボルトとクラッチセンタードラムの固定用ナットに使用。
DUCATIサービスマニュアル推奨の ねじロック剤は入手困難かつ高価であるため、AGはLOCTITE 243(中強度)を使用。
・クラッチバスケット
Barnett Ducati Dry Clutch Basket 321-25-01812
(2009 And Older 6-Speed Dry Clutch Models RED)
クラッチ羽の当たり面にSUS板で補強を施したモデル。
・クラッチキット
SURFLEX(サーフレックス)S2343 Racingタイプ
(Surflex Clutch Friction Discs modification kit for Ducati 1098, Hypermotard)
クラッチ板の当たり面全周に摩擦材が焼結されているレーシングタイプで純正と比較し面圧が向上。
ちなみに純正はこんな感じです。摩擦材に隙間あるでしょ。
・乾式クラッチ用 スペシャルツール
Ducabike Wrench hold clutch housing drum 2-4 valves engines - Ducati dry clutch 商品番号 : ASF01
DUCABIKEのクラッチのセンタードラムおよびバスケットの脱着時の固定治具(SST)←必須です。
・スピンナハンドル
コーケン 4768N-600 スピンナハンドル 600mm 12.7sq
クラッチセンタードラムナットを緩める用。
・インパクト用ヘキサゴンソケット(19mm)
TONE インパクト用ヘキサゴンソケット 4AH-19
差込角12.7mm(1/2") 二面幅19mm
クラッチセンタードラムのナット用、頑丈なのがいいと思って・・・。
・トルクレンチ(大)
KTC 12.7SQ プレセット型 トルクレンチ CMPC300460~300N・m
クラッチセンタードラム(250N・m)や
リアホイール(230N・m)の規定トルク締付け用。
ハイトルクなので高品質トルクレンチがいいと思い購入。
値段はそこそこしますがKTCブランドですから・・・。
・トルクレンチ(中)
Samuriding トルクレンチSIG-T102 (3/8" 9.5mm)
(20~110N・m)
クラッチバスケットボルト13mm(35N・m)の規定トルク締付け用
・トルクレンチ(小)
samuriding トルクレンチSIG-T103(1/4" 6.35mm)(2~24Nm)
クラッチリテーナー(6N・m)の規定トルク締付け用
標準工具と↑こんだけあればクラッチ交換ができます!
クラッチ交換作業開始
クラッチASSYの取り外し
① クラッチカバー外す。
今回は左上のここだけなぜだか短いボルトと本体に白マーキングしておきました。
② リテーナー&スプリングを外す。
リテーナー+スペーサー+クラッチスプリングを外します。DUCABIKE クラッチスプリングの塗装が剥がれてます(;´Д`A ```
③ プレッシャープレート & プッシュロッドを外す。
手でゆっくりと抜きます。
ゴムブッシュ以降にも油が回っています。
なんの油なんだろう。
④ センタードラムのナットを緩める。
センタードラム+バスケットにSSTをハメこんで右下部分のクラッチカバーのボルト穴2か所を利用しSSTを固定します。
※クラッチカバーのボルト穴にSST固定穴が合わない場合
1.クラッチ板を入れた状態からSSTの厚み分だけクラッチ板を数枚抜いてSSTをバスケットにハメ込んでドラムを固定します。
2.クラッチ板を手で押さえセンタードラムとバスケットを連動状態にしてからスピンナハンドルを回してSSTがボルト止めできる位置でボルトを挿入して固定します。
SSTで固定できたらクラッチセンタードラムのナットを緩めます。
クラッチセンタードラムのナットはリアホイール以上にハイトルクで締まっています。
クラッチセンターナット : 250N・m
1/2の600mmのスピンナハンドルにインパクト用ヘキサゴンソケット(19mm)付けて緩めていきます。
やはり一度締まったものを緩めるには規定以上のトルクで締まっているので600mm長さでは緩めることができませんでした(;゚Д゚)
なので、パイプで延長して緩めました(;´Д‘)ハァハァ
パイプで延長するとカウルなどに干渉する恐れがあるので慎重にリア側にスピンナハンドルを降ろす感じで緩めます。
インパクトがあれば簡単ですがツールがないので手作業です(;´Д`A ```
⑤ クラッチ板を外す。
クラッチセンタードラムナットが緩んだところでSSTを外してクラッチ板を取り除きます。奥まったところのクラッチ板を外すのに自作クラッチ取り外しツール(SST2)で1枚ずつ外します。
(廃棄予定ですが裏表や順番はそのままにして外して並べます)
※ちなみにクラッチ板取り外しツール(SST)はアルミ棒にネオジウム磁石をつけた粗末な仕様ですw
⑥ センタードラムユニットを外す。
クラッチ板を除去してナットを外すとセンタードラムユニットを抜くことができます。
⑥ クラッチバスケットの取り外し
ドラムユニットを外してバスケットを固定しているボルトを13mmソケットで8本緩めます。
ここはネジロック剤が効いているのでボルトが外れるところまでトルクがかかっていて少々時間がかかりました。
前回塗布したLOCTITE 243が粉雪のようにポロポロと大量に落ちます(;´Д`A ```
ボルトのネジ山が埋まるほどLOCTITE 243が付着したままなのでボルトを再使用する場合はマイナスドライバー等でネジ山を復活させます。←地味に時間かかります。
新品のボルトを用意しておけばよかったなと後悔するほどです・・・。
1年前のリペア時と比べてさらに打痕が進んでいます(;´Д`)
クラッチキットの取付け
① バーネット製バスケットの装着
粉雪化したネジロック剤や汚れを除去してから、ボルト穴に合わせる形でバーネットのバスケットをハメ込んでボルトを数本仮止め状態で位置決めします。
社外品だからか新品だからかはわかりませんがバスケット本体のハメあいは結構シブいので浮きやズレ注意です。
② ボルトにネジロック剤を塗布して規定トルクで締め付ける。
SSTでバスケットを固定してからボルトにLOCTITE 243を均等かつ薄付きで塗布してから13mmのバスケット固定ボルト8本を規定トルク 35N・m で締付けてバスケットの取付け完了です。
③ クラッチセンタードラムユニットの取付け
ドラムユニットをクラッチのシャフトに差し込んで
スパイダースプリング向きに注意!
スペーサーをハメ込んでからSSTを取り付けて固定します。
ナットの内ネジにLOCTITE 243を均等かつ薄付きで塗布してから
ワッシャをナットにハメて
向きに注意!
ナットを手回しで仮固定します。
プレセット型 トルクレンチ CMPC3004にインパクト用ヘキサゴンソケット19mmを付けて、
規定トルク250N・mで締め付けます(゚Д゚)ノ
メンテナンススタンドで立てたまま本締めできました。
トルクレンチは基本的に延長パイプを突っ込まないので485mm長さのままじわじわと高トルクをかけて締めこみます。 あくまで慎重に体重をかけながら高トルクで締める(‘Д’)!
そこそこのパワーが必要です(;´Д`)
④ クラッチ板の装着
スチールプレートとクラッチ板をマニュアル通りに並べた18枚をドラムに挿入していきます。スチールプレートとクラッチ板は写真の通り1枚ずつ挿入。
並びは
TOP 3 1 3 1 3 1 3 1 4 1 4 1 3 1 3 1 3 5 bottom
です。(モデルによる)
以前に組み上げて保管していたものをそのまま利用したのですが←多分合ってます。
詳しくは“1098S 乾式クラッチパーツの検証とプレートの順序“を参照ください↓
前回の仮組時に見落としていたのですが、
すべてのスチールプレートに切り欠きのようなものが入っていたので
向きを合わせて挿入しました。何が正解かはわかりませんけどwww
装着後のバスケットとクラッチ羽のクリアランスはSUSカバーが効いているのかほぼありません。
左右に回転させてもあまりガチャガチャといわなくなりました(;´Д`)
アルミとSUSのハーモニーを楽しみにしていたのですが、
クリアランスがなさ過ぎて小さく地味な音がしそうです(;´Д`A ```♪
⑤ プレッシャープレート & プッシュロッドを装着
プレートの汚れとプッシュロッドの油を除去してから、ゆっくりシャフトセンターにロッドを差し込みます。
クラッチドラムのリテーナー取付部の切り欠きとプレッシャープレートのマーキング(穴)を必ず合わせること!
これをやらないとクラッチが切れなくなると思います(;´Д`)
※プレッシャープレートはググっと押し込む必要アリ。
⑥ リテーナー&スプリングを装着
リテーナー+スペーサー+スプリングをドラムにねじ込みトルクレンチを使い各6N・mで締めこみます。
※スペーサーは忘れずに
クラッチの動作確認
写真ではわかりにくいですがクラッチがちゃんと切れています。
接 続
切 断
動画の方がわかりやすいです↓
⑦ クラッチカバーの装着
長さ違いのボルトを間違えないように組付けます。
カバーとリテーナーのクリアランスに変化はなし
これでクラッチASSYの換装は完了です。
やはり乾式は楽ちんでした♪
見た目
劇的な変化はなく、外周のバスケットが赤くなってプチアップデートといった印象。カバーしたら見えないからREDでもGOLDでも良かったんですwww
どんな音が鳴るのかは試走時のお楽しみ。
ガチャガチャと壊れたような音♪
ここは湿式クラッチ乗りにはわからない領域ですwww
これにてメンテナンス&大改修 2024は完了です!