完全版! 1098S 各種マフラー(純正・テルミニョーニ スリップオン・フルエキ)× ECUの調査

2024/12/12

この度 1098用 DUCATI PerformanceのTermignoniフルエキマフラー×ECUを装着することで、テルミニョーニスリップオンフルエキの2セットを検証完了したことで純正含む3種の特徴を完全版として記述します。
被検体はAGの1098SのみですがDYNOマシンの実測値なので出力特性に関しては信憑性が高いと自負しています。
※実測値にネット情報を含めて解説していますが誤情報が含まれてたらすみませんm(_ _)m。

 

3仕様の特徴

① 純正フルエキゾースト × 純正ECU(日本仕様)

構成:純正フルエキゾースト&サイレンサー × 日本仕様ECU

表示:キーONで、右側水温表示枠に「JAP」、メーター中央部に「SBK 1098 TSE」のメッセージが流れます。

馬力:カタログ値 155ps?

実測値 :未計測で不明ですが回転数リミッターが設定されていること、スリップオンなどの実測値から比較して155psは無理があると考えます。
(体感的には100ps程度ではないかと・・・)

●メリット
・純正サイレンサーは静かです。(乾式クラッチ音の方がうるさいかも)
・何もしなくても車検に通ります。

▼デメリット
・回転数リミッターが設定されている。(約9000rpm縛り)

・排ガス規制に適応した空燃比につきガスが薄め。
・キャタライザー(触媒)内臓純正サイレンサーは静音ですが高温になる。
・低回転域のトルクが細い。
 排気デバイス(バルブ)により低回転域がギクシャクする他、発進時にエンストしやすくなる。
※ 純正ECUは4000回転まで片方のパイプ内のバルブが閉まる(全閉まではしない)事により排気音を小さくして車検に通るようにしています。
このことより車検の騒音対策機構であるといえます。

車検対応マフラーでそのまま運用したいユーザーにおススメ!

音もパワーもいらない、整備スキルもないしお金もかけたくないというユーザーは、純正が一番です。
しかしながら、純正(日本仕様)の構成はバイクに足枷をしている状態ともいえるためバイクにとっては良い状態ではないかと考えます。

 

② テルミニョーニ スリップオンサイレンサー × 専用ECU(96518607B) ←おそらく本国仕様(イタリア)

構成:DUCATI Performance Termignoni SLIP ONサイレンサー(後期型)× SLIP ON用ECU(キット型番 96115707B)

表示:キーONで、右側水温表示枠に「EU」、メーター中央に「SBK 1098 RACING」のメッセージが流れます。

馬力:カタログ値 157ps

実測値:142.35ps後軸 (156.585ps)←10%補正

●メリット

・回転数リミッター解除(REVリミッター約10,500rpm)
・燃調が濃いめ(独自にA/F比を設定)
・排気デバイスはキーON時に作動するが全開固定
(純正特有の低回転域のギクシャク感が解消されます。)
・O2センサー不要(A/F比のフィードバックシステムが存在しない)
・サイレンサーがカーボン(触媒レス)になることでサイレンサーの発熱量が下がります。
(カーボンは走行後すぐに触っても大丈夫なほどです。)

▼デメリット

・エキパイ集合部が熱くなる。
 サイレンサーが熱くならない代わりなのかエキパイ集合部の熱気がまぁまぁ熱く右太もも裏が局所的に熱くなります。
・極低速トルクが細い。(発進時のトルクは細いまま)
 PPSなどのコンデンサチューンで軽減できます。

★お手軽ライトチューンユーザーはスリップオンがおススメ!

スリップオンサイレンサーと専用ECUを装着し、O2センサーの取り外しだけでそこそこのパワーが出ます。さらにテルミニョーニ以外のサイレンサーも使えてお得です。
PPSなどのコンデンサチューンを合わせると市街地走行が楽になります。
車検時の純正戻しも楽々です。

・スリップオンサイレンサーのバリエーション

Termignoniサイレンサー(キット型番:96115707B)はカーボンですがチタンも存在します。(キット型番:96115807B)しかし価格も高く個体数も少ないです。
さらにAKRAPOVICTOCEなどのDP以外の社外品の組合せも可能で接続パイプ径は純正φ60用となります。 DPテルミニョーニスリップオンサイレンサーキットにはECUとエアーフィルターがセットされていることから、社外サイレンサーに交換した場合でもDP製もしくは社外品のハイフローエアーフィルターが必須。

・スリップオン用ECU

排気デバイスが全開でホールドされるため社外品のサーボキャンセラーは不要。
※社外品のサーボキャンセラーはノーマルECU時の対応です。
O2センサーはコネクターを外して放置も可ですが、空気抵抗にしかならないので除去を推奨。(DPでフロントバンク側のO2センサー穴の①メクラ栓と②銅ワッシャーが入手可)

・テルミニョーニS/Oサイレンサーの形状とフィッティング

1098系テルミニョーニサイレンサーのデザインは2010年にモデルチェンジが行われており前期と後期仕様が存在します。

前期型 : テールエンドより長い楕円ストレート形状のサイレンサー


後期型 : サイレンサーエンドがスラッシュカットされたショートタイプ

(AGの2011年式848EVOに後期型が装着されていました。)
形状の違いによるパワーの違いは確認していませんがおそらく同じでしょう。
フルエキ仕様も前期・後期のサイレンサーが存在します。

 

③ DUCATI Performance Termignoniフルエキゾースト&サイレンサー(前期型)× 専用ECU(96518507B)

構成:Termignoni φ70エキゾーストマフラー(専用カーボンヒートガード)× サイレンサー(前期型)× フルエキゾースト用ECU(キット型番:96115907B)

表示:キーONで、メーター中央に「SBK 1098 RACING EVO」のメッセージが流れます。

馬力:DPカタログ値 ②の8%UP(約166ps)

実測値:147.53ps後軸 (162.28ps)←10%補正※走行距離18,000kmの個体でスリップオンから5psUP(3.6%UP)

●メリット
・市街地の低速走行でも意外に乗りやすい。

・回転数リミッター解除(REVリミッター約10,500rpm)
・燃調がさらに濃いめ(独自にA/F比を設定)
・排気バルブがなくサーボユニットごと撤去でき軽量化に。
 O2センサーは不要(A/F比のフィードバックシステムが存在しない)
・トルクアップ
 発進時は基より中間加速のトルクが増大
 馬力こそスリップオンの5psUP程度ですが、かなりトルクフルになります。
 発進時のトルクが増すことでコンデンサ(PPS)の補完なくともエンストしにくくなります。
 また中間の回転域でのトルクが増大し軽くアクセルを開けるだけでフロントが浮きます。
・マフラー音はスリップオンと同程度?
 体感ですが音量ではなく音質が重低音寄りに変化し音が太くなった印象。
 おそらくユーザーでないとわからないかもしれません。

戦闘力が上がりますが意外に低速走行は純正より扱いやすかったりします。

▼デメリット

・フルエキの脱着が面倒
 純正エキパイの取り外しとフルエキキットの取付けには、予備知識・工具・整備スキルがある程度必要です。(個体差なのかは不明ですがエキパイとフレームの干渉など辻褄合わせが必要)
ナンバー付きで維持していくならば車検時に脱着が必須。←詳しくは過去記事を

1098S メンテナンス&大改修 2024 part2 純正フルエキゾーストマフラーの取り外し

1098S メンテナンス&大改修 2024 part3 テルミニョーニフルエキゾーストマフラーの取付け&ECUの換装

(脱着の難易度はパニガーレより楽?)
・エキパイ集合部が尋常でないほど熱くなる

DUCATI Lツインあるあるですが、ゴー&ストップを繰り返す市街地では車体右側エキパイ集合部の熱気で右太もも裏がかなり熱くなります。

★性能特化型のユーザーにはフルエキがおススメです。

やや盛り気味に言うとテルミニョーニのフルエキへの換装は“悪魔との契約書”にサインすることを意味していますΨ( `Д´ )Ψ
電制の効いた最新鋭のSSにはない暴力的な加速、フルエキへの換装は本来の1098の姿と言えるでしょう。

・フルエキとスリップオン発熱量の真意

フルエキはφ60→70に管径が太くなって触媒&排気バルブフリーで排気効率が上がることにより熱さが純正及びスリップオンより比較的マシになる?との噂でしたが百聞は一見に如かず、事実は異なります!フルエキは排気効率が良くなっている影響か水温上昇スピードがスリップオンと比較して緩やかになりましたが、排熱性が向上しているせいかエキパイ集合部の熱さは常軌を逸しています。(スリップオンの比ではありません!)例えば秋口、皮パンを履いた状態で市街地の信号待ちで熱さに耐えきれずバイクを降りたくなるほど暴力的です。

結論として、夏場にジーンズを履いての市街地走行は自殺行為に等しいと考えています。(マジでヤケドします)

車両への対策は思いつきませんがライダーにできることといえば
・夏場の市街地走行はNG
・サーキット仕様にする
・常時皮パンを履く
・AGのように涼しい顔して我慢する(なかなかのド〇)

 

3仕様を検証してみて

今回、3仕様の特徴・実計測データとAGのインプレを交えて解説しましたがフルエキ換装まで突き詰めることができて満足しています。

純正仕様の是非はさておき、TOTALで考えれば公道&サーキット走行の両方が楽しめるスリップオン+ECUが無難ではないかと考えます。(AGはこれで結構楽しめました。

フルエキは性能向上の対価として著しく快適性が損なわれます(;´Д`)
国産車ではライダー度外視でここまで性能に全振りしたキットはないでしょうwww

単に馬力特化であれば最新SSに軍配が上がりますが、あの出力特性は1098フルエキ仕様特有であり中毒性があります。

皆、捉え方は様々ですので、これらを参考にご自身にあったプランで1098シリーズをお楽しみいただければと思います。

でも 1098の本当の姿を見たくないですか?

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