1098S brembo M4 キャリパーのオーバーホール作業
2022/06/13
brembo M4 キャリパーからのオイル漏れ発覚から4週間でオーバーホールに必要な部品たちが全て揃いました。
今回は失敗しないように気合いを入れつつ慎重に作業を進めていきたいと思います(;´Д`A ```
作業手順
① 下準備(前日より)
先輩のアドバイス通りにピストンシールとダストシールをフルードに漬け込んでなじませます。収縮しているゴムを戻すためです。
昆布的な?シイタケ的な?感じでしょうか。
諸説あるかどうかわかりませんが、漬け込みの是非は不明です。
ちなみにシール(ゴム)はフルードを弾いていました。
② キャリパーシール溝の清掃
シール溝にゴムの固着跡が見られたのでキャリパーシール溝の荒れ(凹凸)を除去します。
掃除には“ブレーキキャリパーほじほじ君”を使ってもよいですが、モノブロックキャリパーは一体成型で分割できないのでほじほじ君が入らない上に金属製ということもあり、つまようじをつかって清掃します。写真はシール取り外し時の模様
竹串の方が強度があり清掃に適していますが当日忘れたので爪楊枝を何本も折りながら使用
③ シールにグリスアップ
一晩フルードに漬けこんだシールをキッチンペーパー的なもので粗方拭き取ってからワコーズのラバーグリースを1個ずつ手で塗り込みます。
塗布量は薄っすらついていればOKです。
④ シールを装着
厚みが薄いダストシールからシールがひっくり返らないように注意しながら慎重にハメこみます。次にピストンシールもひっくり返らないように注意しながらハメこみます。
最後の一押しでパチッとゴムの反力でハマってくれます。
手でやるのが確実です。
ピストンシールの向き
ピストンシールの向きに関しては形状からして横長の長方形で表裏はありませんでした。というのもキャリパーのピストンシールはキャリパー側(一番奥)は窄まっていてフルード漏れを止めることとブレーキレバーをリリースした時にピストンを引き戻すために奥側の内径が小さくなっています。
その機構はキャリパーメーカーによって異なります。
① ピストンシールの断面を台形にして奥に進むにつれてテーパー状に広がっているもの
② キャリパーのピストンシール溝が斜めに彫られているので、そこに四角のシールを入れると下の方がシール溝から出っ張る仕組みのもの
があり、今回のbrembo M4 キャリパーは後者②にあたると考えます。
装着したピストンシールを触ると奥側の角が指にあたります。
⑤ アッセンブル用フルードを塗布
Caliper, Piston and Seal Service Kit part no. 2025474773のHP写真にはアッセンブルフルードが付属しているはずでしたが自宅で現品1箱を確認した時はフルードがついていませんでした。
そんなこともあるかと思っていましたが作業場に持ち込んだ際に後輩君が見に来て「こんなん入ってましたよ」とアッセンブリングフルードを出してきました。えっ!入ってたの?
・・・でも1箱にしか入っていませんでした(;´Д`)
なんやねん?
自宅で落としたのでしょうか? それはないと思うのですが・・・・
brembo アッセンブリングフルード 04.2954.70
これは日本でも手に入ります。
これを容器にあけてから手でピストン8個とシール周辺にぬりぬりしておきました。まぁまぁ粘度高めの溶液でいてグリスほど厚みが増したりはしない感じです。
1袋で2キャリパー分をぬりぬりしましたが余るほどでしたので1袋で十分です。
⑥ ブリーダーボルトの装着
ついつい忘れてしまいがちなパーツです。
漏れ止めのためにラバーグリースを塗布して軽く締めこんでおきます。(最後の締め付けトルクは10Nm)
ただのフルード交換時にも交換をお勧めします。
締めこみすぎてヘタっている可能性が高いです。
バカトルクで締めこんだ記憶がなければ
どうということはありません。
⑦ ピストン圧入(挿入)
アッセンブリングフルードで表面が滑りやすくなったピストンを一個ずつ手で極力平行にしながら押し込んでいきます。前回失敗した時の従来構成での圧入はグリースが効いてにゅ~っと入っていたのですが、今回は結構な抵抗感があります。
何度も確認しながらグググっと底まで押し込みました。最初 → ダストシール → ピストンシール → 底
と途中で勢いが止まるほど抵抗がありました。
新品シールとピストンの構成ですので尚更かと・・・
⑧ パッドの挿入
摺動部と背面のピストンが接触面にパッドグリスを薄く塗ってからキャリパーに装着します。
これで
・ピストンシール : 4×2キャリパー
・ダストシール : 4×2キャリパー
・ピストン : 4×2キャリパー
の組付けが完了しキャリパーのOHが無事に終了しました。
次は組付けとエア抜きです。