1098S クラッチの状況確認+SST自作&購入

2023/04/07

休み明けに1098Sのクラッチ状況確認のためにドック入りさせました。
早朝10℃程度、幹線道路でするりとアクセルを開けるとズルズルとまぁまぁ派手にリアタイヤが滑ります(;´Д`)
ミシュラン power cup2 低温時の滑りは顕著ですね。
トルクフルな1098だからなのかw
もう滑るの慣れましたが何か(゜Д゜)?

 

クラッチの状況確認

数日前に引き払ったはずのピットに舞い戻り、分解を始めます。
今回は作業性を考慮しクラッチ側で整備しやすいようにして作業開始です。

クラッチカバーを外す。

ボルトを順番通りに並べておきます。

リテーナーとスプリングを外す。


この状態でバスケットとフリクションプレート(クラッチプレート)の羽のクリアランス(隙間)を測定。

サービスマニュアルでは

and overhaul of the clutch components
Checking the clearance between the clutch drum and the friction plates
Insert the friction plate (A) in the clutch drum (B) and measure tang-to-slot clearance (S) with a feeler gauge.
The clearance “S” must not exceed 0.6 mm.

・和訳

クラッチ部品のオーバーホール
クラッチドラムとフリクションプレートの隙間の点検
フリクションプレート (A) をクラッチ ドラム (B) に挿入し、タングとスロットのクリアランス (S) を隙間ゲージで測定します。
クリアランス「S」は 0.6 mm を超えてはなりません。

クラッチドラムにフリクションプレートを装着した状態でその隙間ノギスで測定しましたクリアランス:1.08mm規格上限0.6mm

プレッシャープレート & プッシュロッドを外す。

スポッと抜きます。フリクションプレート & スチールプレートが外れました。

ちょっと油が漏れてるのかな?

フリクション&スチールプレートを外す

自作クラッチ取り外しツール(SST)で1枚ずつ外していきながら
全てのプレートにマーキングしていきます。

裏表や順番間違いはトラブルの元なので

※クラッチ板取り外しツール(SST)はアルミ棒にネオジウム磁石をつけた質素なものですw

フリクションプレート & スチールプレートの確認

サービスマニュアルでは

The friction plates must not show any signs of blackening, grooves or deformation.
Measure the thickness of the friction plates. It should not be less than 2.8 mm.
Place the plate on a flat surface and check the amount of deformation with a feeler gauge.
Max flatness error: 0.2 mm.

・和訳

フリクションプレートのオーバーホール
フリクションプレートには、黒ずみ、溝、または変形の兆候があってはなりません。
フリクションプレートの厚さを測定します。 2.8mm以上であること。
プレートを平らな面に置き、隙間ゲージで変形量を確認します。
最大平面度誤差: 0.2 mm。

確認結果

・フリクションプレートの羽
 カエリ(バリ)あり。

・フリクションプレート厚み
 すべてのフリクションプレートの厚みが2.8mmを100分台で超え

・スチールプレートの変形量
 奥から2枚目だけ

0.2mmのシクネスゲージがスコスコ入ります。

…。(´д`||i)ヤッベー

 

ここからはクラッチバスケットを外すためにセンターナットを緩める必要があるのですがクラッチドラムが共回りするのを止めるSSTが必要となります。

というわけでSST(スペシャルサービスツール)を発注しました。

DUCABIKE 乾式クラッチ用 スペシャルツール
Ducabike Wrench hold clutch housing drum 2-4 valves engines - Ducati dry clutch 商品番号:ASF01 ¥5,720円 (税込)

以下の物もありましたが有名どころのDucabikeにしときました。

ドゥカティ クラッチバスケット・ドラムホルダー(12TAB 6速乾式クラッチ用)

数日後、必要工具類が到着

TONE インパクト用ヘキサゴンソケット 4AH-19 差込角12.7mm(1/2") 二面幅19mm

Ducabike Wrench hold clutch housing 商品番号:ASF01
早速分解作業を始めます。
今回はセンターナットを緩めるのに後輩君を召喚です。

後輩君は届いたSSTを手に取って・・・???
これってアルミじゃないんですね?
だって軽いし冷たくないし・・・

なんやてっ!?∑(゚Д゚)⁉︎

AGは直前までアルミの削り出しと思い込んでいたので衝撃が走りました。
そういえばやたらと軽いなと思ってたのですが再度確認すると異常に軽いし冷たくないんです(;´Д`)

調べてみると

Ducabike Wrench hold clutch housing
●Highest quality - Made in Italy
●CNC milled
●Made of DELRIN, POM synthetic material

・和訳

Ducabike レンチホールドクラッチハウジング
●最高品質 - イタリア製
●CNCフライス加工
●DELRIN、POM合成素材

POM 合成素材って樹脂やんけ!(ꐦ°᷄д°᷅)

POM樹脂の特徴

POM樹脂は、プラスチックのなかで最も耐摩擦性が高いという特徴があります。摩擦係数が小さく、摩耗がほとんどありません。
吸水性、吸湿性が低く水によって形状が変わらない特徴があります。

機械的強度が高い

POM樹脂は機械的強度に優れ、61Mpaと、とくに高い引張強度をもつという特徴があります。高温の環境下でも使用も可能で、短時間であれば150℃の高温にも耐えられます。

耐薬品性に優れている

POM樹脂は、塩酸や硫酸などの強酸以外の有機、無機薬品、有機溶剤をはじめ、ガソリンやオイル、グリスなど薬品に耐性があります。エタノールやトルエンなどの薬品に長時間さらしても、変色・劣化などの変化はわずかです。

POM樹脂の短所

燃えやすいので取り扱いに注意が必要
分子構造に炭素、水素、酸素が含まれ、ベンゼン環構造を持たないPOM樹脂は、エンジニアリングプラスチックのなかでも最も燃えやすい素材です。
紫外線に弱いので屋外での使用が難しい
POM樹脂は耐候性が低いため、屋外での使用には不向きです。POM樹脂は、紫外線や光に当たると黄色く変色したり、変形したりするため屋外で使用する場合には安定剤が必要です。
塗装には不向き

要約すると樹脂の中でも強い部類だそうで、燃えやすいですが紫外線にあてなければどうということはないようです。

POM POM POM サカナの子♪`; )

と脳内再生。。。

樹脂に5,720円ってのがどうも合点がいかないのですが買ってしまったものは仕方がないので使っていきます(-ω-)ウーン

クラッチバスケットの取り外し

クラッチセンターナットはリアホイール以上にハイトルクで締まっています。

参考までに

リアホール : 230Nm
クラッチセンターナット : 250Nm

一度締まったものを緩めるには上記以上のトルクで締まっているので1/2の300mmのブレーカーバーに必殺SST名付けてスーパーウルトラロング単管ver.2(たぶん3m)をぶっ刺して緩めていきます!

先ずはSST(Wrench hold clutch housing)をクラッチカバーの右下の穴に取り付けますがここで問題発生。
バスケットのハネとクラッチドラムギアがSSTの溝に合っていないと装着できない仕様になっています!

再度クラッチ板を挿入してセンターナットに19mmHEX+ブレーカーバーをつけてクラッチ板を手で押さえながらバスケットの位置をSSTの溝に合わせて固定します。
ちなみに本SSTは純正12枚バネのバスケット用みたいです。

ひとりで作業はちょっと面倒です。
SSTのチョイスをミスったかもしれません(;´Д`)

SSTの固定が終わったところでブレーカーバーwith 19mmHEXをセンターナットにセットしてスーパーウルトラロング単管ver.2(たぶん3m)を差し込んで斜め上からじんわりと下ろします。(前方はミラーやハンドルがありSSTバーがあたるのでNG、後方はテールカウルの出っ張りに注意すればOKです。)

ゆっくり降ろしていくとパキッとなって緩みました。
スーパーウルトラロング単管ver.2(3 or 4mm)を使うとやはり余裕でした(-_-)v

ナットやワッシャーにも念のためマーキングしてからドラムを取り外しましたが、よく考えたらセンターシャフトにネジロック剤が塗布されているような?いないような・・・?

バスケットの取り外し

クラッチドラムを外してバスケットを止めているM8ボルト13mmソケットで8本緩めます。

ここはネジロック剤が効いているのでボルトが外れるところまでトルクがかかっていて少々時間がかかりました。Ducabike Wrench hold clutch housing(SST)での固定を忘れずに。

バスケット外観 : フリクションプレートの羽による打痕が顕著。
特に回転方向(向かって右側)がダメージ大

プレッシャープレートを外す前の目視ではダメージが解りませんでしたが分解すると明確です。
クラッチプレートとバスケットの両方の交換がおそらく必須かと思われます・・・

さてどうしたもんか?┐(´~`;)┌

-Accident & Malfunction, DUCATI 1098S, GEAR, repair & maintenance